ロクロを上手になる方法はあるかと、人に尋ねられる。
上達方法はたった一つ、練習すること・・などと不親切な月並みの答えはしません。
上手になるには、手廻しロクロを経験することを勧めます。
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しかしその前に、上手なロクロ師になる必要があるのかどうか考えたい・・。
ロクロの発展の源は大量生産にありました。
早く・・、沢山・・、それが目的でした。
よく蹴りロクロで挽いたモノには、味わいがあるなどといいますが、味わいを目的にロクロの機構が発展してきたのではありません。
味わいで云うなら、手捏ねの方がより味わい深くつくることが出来るのではないでしょうか?
手工品としての焼き物に大量生産が求められない現在では、“上手”よりも“丁寧”の方が大切だと、相玄窯はそう思っています。
ちょっと読むだけではロクロを重要視していないように見えますが、そうではありません。
大量生産がなければ、ロクロ上手も存在し得ないのです。相玄窯の考えはともかくとして、私自身も手廻しロクロで勉強させられてきましたから、それに付いて話しましょう。
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上の写真は蹴りロクロです。天板の直径は約45センチです。
手廻しロクロは単なる回転台ではなくて、蹴りロクロと同等の本格のロクロで、足の代わりに天板を手で回転させるものです。
この構造は下の写真のようなもので、手で回し棒を持って回転させ、棒を置いて、ロクロが回転している間に、モノを挽き上げるのです。
惰性で回転する時間を稼ぐために、天板の直径は60センチほどで、重量を持たせてあります。
このロクロは惰性で回転しているだけですから、ノンビリ作っていたら、直ぐ停止してしまいます。
このため何時までもグズグズと粘土に触っていることが出来ないのです。
何度も形をやり直していたのでは、形に新鮮さがなくなり、触れば触るほど、だらしなく、鈍く無表情になるのです。
そこで1工程を1手できめてゆく必要が生じ、このことがロクロを上達させるのです。
上手とは、思うモノに、一直線に到達する事をいうので、不要な動きはしないのです。
100bを10秒切って走る者を選手とはいうのです。100b走ったのは同じでも30秒かかったら、ただのランナーに過ぎません。
上手と下手の差とは、その様なものだろうと思います。
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この、手廻しロクロで例えば、キッチリと同じ湯飲みを一日300個水挽き出来るようになれば、現代では上手なロクロ師と言えるでしょう。
更に同じ日に、削りも300個出来れば、かなりの達人です。
上手なロクロ振りには、普通とは明らかに違うなにかの感じがあります。やきものが自らの足でスッと立っている存在感というような。
あるいはねばり強い、靱い形、そんな感じです。
電動ロクロでは、甘えが出るのでこうはならないものです。
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しかし、ロクロにこだわるなら、ほかにもっとこだわってよい所があるように思うのです。
上手でない人は、そのぶん丁寧に挽けばよいのだと思いますが、どうでしょうか?
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