土どり・ほか=手に付くということ



テーマの土取りは、一定の大きさにうつわを作る上で是非マスターしなくてはなりませんが、これが案外やっかいなのです。

何かで測るわけではなく、完全に手の感覚だけで決めることなので、新しい器を作るときは、どうしても迷います。

カット・蓋付き大壺

ではどうしたらよいか、正直に言いますと 「慣れるしかないのでは」と思ったりします。

この仕事をはじめて三十年ちかく経ちますが、今でも器の種類を変えるたびに、少なくとも最初の3〜4個は手に付かず、犠牲にしてしまいます。

カット・平底スープ入れ

こういうことを繰り返しているうちに、何時ごろからか「自分は知らなくても、自分の手が知っている、心配ない!」と思うようになりました。

器の種類とサイズを一目見れば、殆ど間違いなく、手は自然に必要な土取りをしている。
3〜4個の犠牲は、本式に走り始める前の足踏みのようなものです。

カット・組湯呑み

もっと大事なのは、その土取りの感覚が作り終えるまで持続することです。

それは迷わないこと、自分を信頼することでもあります。

カット・台鉢

それともう一つ大切なことは、粘土の含水量を一定にすること。

粘土の堅さを一定にすると言うことは、出来る器のサイズを一定にすることになります。

含水量は収縮率に直結して、それは器のサイズに大きな影響を及ぼすからです。
プロの仕事では無視することは出来ません。

カット・角蓋物

一日にある一定の数量以上を作るとロクロが荒れるというような言い方をする焼き物やもいます。

ノルマ的にこなすのだったら、そういう荒れるということがあるかも知れません。

仕事となれば楽しいことばかりではありませんが、それでもやはり仕事は楽しんで、荒れるような仕事ぶりにならないようにしませう。


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